友人の訃報

妹の病気が再発してまた入院&手術を受けることになり、ため息をついていたら、今朝になって友人が病で急逝したとの知らせが届きました。


重い話題ばかりでごめんなさいね。なんだか考えさせられることばかりです。


友人は、ゲイの男の子。どことなくエキゾチックな風貌の、セクシーな男の子でした。初めて会ったのはもう10年近く前。その当時ですでに何年もつきあってる安定したカレシがいて、珍しいなって思ってた。私のまわりにいたゲイの子たちは、ゆきずりみたいな短い恋ばかり繰り返していたから。


その頃、私はずっと友達だった人の恋人になれたばかりで、その人が大学の飲み会かなにかで仲良くなって連れてきたゲイカップルでした。私はどちらかというと亡くなってしまった友人のカレシのほうと話が合って、浮かれモードの私に“先輩カップル”としてアドバイスをくれ、「お互い、10年保ったら合同婚しようぜw」とか、いつも同じネタではしゃいでた気がする。そんな気さくでガタイのいい兄貴のとなりでニコニコ笑ってる、きれいな男の子でした。竹野内豊に似てるなぁとか思ってた。


ここ数年、疎遠になっていたのは、私がその時の恋人と別れてしまったから。だけど彼らはその後、一緒に暮らしはじめ、今の今までずうっと続いていたのです。たぶん、“10年”に辿り着いたんじゃないでしょうか。なのに、こんなふうに途切れてしまうなんて。


なんのむずかしい病気でもなく、腹膜炎の悪化とのことでした。仕事がハードで、痛みを何日もこらえてしまったらしいのです。緊急手術をしたものの手遅れだったとか。彼の正確な年齢を知らなくて、確か私よりちょっとお兄さんでしたけど、まだ三十代半ばなのではないかと思います。あまりにもはやすぎます。


不本意のまま亡くなってしまったであろう彼を悼むとともに、いま、気になるのはあのやさしい、ガタイのいいカレシのことです。入院中もとても献身的に尽くしていたと聞きました。衰弱してゆく恋人の傍にいて、どんなにか恐ろしく、苦しかったでしょう。愛する人を失うなんて、想像するだけでゾッとする。ずっと一緒に楽しみ、笑い、歩いてきた人がいなくなるなんて、もう触れることも話すことも叶わないなんて、考えるだけでその恐怖と絶望に震えがはしるのに……。


そして、もうひとつ気になる。亡くなってしまった彼は地方出身で、葬儀が終わったら地元に連れて帰られてしまうのです。結婚を伴わない恋は、いつか同じお墓に入ることさえむずかしい。彼らがご両親にカムアウトしているのかどうかわからないけど、一片でいいから骨をくださいと、私が恋人なら言いたいけれど、それも望んでも叶わないことなのかもしれません。


今夜、お通夜にいきます。久しぶりに会うのに、こんなことなんて。
なんと言葉をかけたらいいのか、考えれば考えるほど苦しい気持ちでいます。