拘束されて、なすすべもなく

などと書くと、どことなくエロティックな気配がしないこともないわけですが、
なんのことはない、精密検査でMRIを受けましたというお話です。


てゆうか、なにあれ! なんなの、怖かった!
あんなに怖いものだとは知らなかった!。・゜・(/Д`)・゜・。


私、まったくMRIについて知識がなくて、
「CTみたいなものでしょ?」って思ってたんです。
寝かされて、機械に入れられて、1分ほどウィ〜ンって撮影するだけでしょ?って。
(CTはそういう感じなんです)


事前に、女医ピロ子に「閉所恐怖症ではありませんか?」って訊かれたのだけれど、
「? ええ、平気です」って感じで、なんか大げさだな〜って思ってた。


そしたらああた! 全然CTと違うじゃないの!。・゜・(/Д`)・゜・。


寝台に寝かされて、動けないように太いベルトで体をがっちり拘束された揚句、私の場合、脳の撮影だったので、頭もがっちり固定されて、「大きな音がしますからね」と言われて耳栓をさせられたの。


で、「気分が悪くなったら押してください」と、右手にブザーを持たされたの。大げさだなって思ったわ。


それで、目を閉じて、ウィィーンと機械の中に入れられた。そこまでは良かったの。すぐ終わると思っていたし。


寝台が機械の中で止まって検査が始まると、確かに断続的に大きな音がして、それがなんともいえず不快な音だった。ジージー鳴ったり、カンカンカンと強く叩くような音がしたり、またビービービーと鳴ったり。


うわ、イヤだな〜と思いながら、目を閉じてジッと我慢してたの。すぐ終わると思って。


ところが、それがいつまで経っても終わらない。軽く5分くらい過ぎてると思うのに、まるで外に出してくれる気配がないの。


(……これ、いつまで続くの?)


拘束されていることもあって、急に不安が襲ってきた。動けなくて苦痛だった。


(……一体、なにが起こってるの?)


しばらく逡巡した後、私はとうとう我慢できずに、そっと目を開けてしまったの。これがいけなかった。


なんと、ほんとに目と鼻の先、まさに眼前に、顔全体を覆うように網目のような機器が迫っていたのよ!


(……ヒッ!!!)


声にならない悲鳴とは、あのことだわね。全身拘束された状態で、怖ろしいほど顔の近くに、よくわからないものが迫ってるんだから。


パッと目を閉じたけど、もう遅い。どんなに怖くても逃げられない。固く目を閉じた暗闇の中で、耳栓をしていても頭の中に響いてくる不快で不気味な機械音……。


「恐怖」という感情がたちまち全身を支配して、ブザーを握ってる手が震えはじめたのがわかった。


動悸が明らかにおかしくなって、肌にじわりと冷や汗が滲んでくる。指先の小刻みな震えが止まらない。怖い、怖い、怖い、ここから出して、はやく終わってと思うのに、不気味な音はいつまでも鳴りやまない。そのうち息をするのも苦しくなってきて……。


私ね、別にそんなに怖がりじゃないのよ。ヘンな例えだけど、どんな遊園地のアトラクションも怖くないし、多少怖かったとしても、我慢できるの。


でもね、あの時は、とても我慢できないと思った。まったく動けないように拘束されて暗くて狭い中で大きな音を聞かされ、それがいつ終わるかわからないということが、あれほどまでに苦痛で恐怖心を感じるものだとは知らなかった。


つまり、拷問なのよ。精神的な責め苦。助けて、このままだと発狂する!って感じ。


だめ、もう死ぬ……とか思って、完全に涙が出てるんだけど、ブザーを押すのも怖いの。


もし、今、ブザーを押して、この検査が最初からやり直しになったら? そう思うとイヤだ耐えられない!と思って、ブザーを押すこともできなかったの。


でも、耐えきれずに押しちゃう人も結構いると思う。下手したら失禁する人だっているんじゃないかと思う。


そのまま、どのくらい経ってたのかなあ。全体で15分くらいだったように思うけど、よくわからない。


もうダメ、気を失う……という寸前になって、やっと、やっと検査が終わったの。


機械から出された時、呆然となって泣いてた私を見て、検査技師の方がすばやく拘束を解きながら、「この検査はどうしても受けられない方も、たくさんいらっしゃいますからね」と慰めだか何だかわからない声をかけてくれた。


でも私はまったく返事ができなくて、ふらふらしながらやっと立ち上がって、こんなに長くかかるなら最初から「○分かかります」と教えてくれたらいいのにと、ものすごく恨めしく思ったわ。


いつ終わるかわかってるだけでも、ずいぶん違うと思うもの。


もしMRIを受けることになったら、絶対に何分かかるか確認したほうがいいと思います。


私はもう二度とイヤだわ。自分で気づかないだけで閉所恐怖症だったのかもしれないけれど、本当に発狂するかと思いました。


きっと、まったく平気という人もいるのでしょうね。あるいは慣れたら平気なのかも。でも、やっぱりイヤだな。これまでの人生で1,2を争うほど怖かったのです。


検査を終えて、すこし休んで、お会計をした時、カードで支払ったのだけれど、そのサインを書く手がまだ震えてました。


もうこんな検査したくないから、私、真っっっ剣に食生活とか気をつけようって思いました。あ、この効果を狙ってるのかなあ? あの恐ろしさってばもしかしてorz