京都で食べたものメモ3 「瓢亭の朝がゆ」

むかしむかし、『美味しんぼ』で見たときから憧れでした。
瓢亭の朝がゆ。
白粥に葛の出汁餡をかけて食べる……、これぞ日本の心でないの!


とか思ってたわけですが、
なかなか敷居が高く感じていて、これまで訪れる勇気がなかったのですよ。
ほら、京都の名店って、「一見さんお断り」的なイメージあるでしょう?


でも、あてくしもいっぱしの大人になってまいりましたし、
そろそろいいんじゃないかなー(なにがw)とか思いまして、
勇気を振り絞って予約のお電話をかけてみたわけでございます。


そしたらですね、先方は上品なお声で、こうおっしゃいました。


『8時半からでしたら、なんとかお取りできますゎ』


ひえー。“なんとか”ってなにw
そんな接客用語ありますかいな〜…、と東に暮らす者は思ったわけですが、
つい「ありがとうございます」などと下手に出てしまう件w


ハァ、ほんと、京の都のイケズパワーはすごいわ。
私、以前、京都のお寺で「ご出身はどちら?」ときかれて「福井です」と答えたら、
「まー、あんな草ぼうぼうのところでよう暮らしてはったわー」とか普通に言われたことがあってw


そういうイケズさに遭遇するたびに、にゃろーと思うんだけど、
なんていうのかなー、京都ってさすがだなと思うところは多々あるの。


文化的なことはもちろん、
街ゆく人も身綺麗で、さらりと着物を着こなしてたりして素敵だしね。
にゃろーと思いながらも、憧れてしまうわけですよ。


というわけで、さるも(鳥取出身)とふたり、
ぶつくさ言いながらも妙に気取って行ってまいりました。



別館のほうです。

まあ、素敵な中庭。


でも、席いっぱい空いてるでないの!
われら憤慨。「なんとか」ってなによ。ねぇ? 


しかしながら、お料理が出てくると、事態は一変しました。

まずこういう感じで出てきてー。

瓢箪上段。

瓢箪中段。

瓢箪下段。


(;く。ま)<こ、これはっ……
(;さ。る)<なに、この出汁……


いやこれが、どれもこれもびっくりするほどおいしかったの。
玉子まで、なんじゃこりゃ〜!ってくらいおいしいんだもの。
(瓢亭玉子として有名らしいと後で知りました)


(;く皿ま)<に、憎い……
(;さ皿る)<憎いがうまい……


ひたすら歯ぎしりする田舎者ふたりw
さあ、本命の朝がゆがきましたよ。


ほんのり甘みを感じる白粥に、
たいへんに香り高いの葛の出汁餡をた〜っぷりとかけまして……


(;く◇ま)<…………。
(;さ◇る)<…………。


思わず黙り込む私たち。
端正な中庭から透明な陽射しが差し込んで、たいへん美しい朝でした。
京都ってすぎょい…と、完全ノックアウトでございました。


その後、9時を過ぎるとぞくぞくとお客様がやってきて、
いかにも観光客風のルーズでせわしない人たちもいましたが、
着物姿でのんびりと中庭を眺めながら、ひとり朝がゆを楽しんでいる粋な女性(うちらと同い年くらい!)もいたりして。


そうね、なんか参りました。
味にも雰囲気にもやられました。
多少イケズでも、またいそいそと出掛けちゃうと思います。


こういうのって、ちょっと色恋のあやに似てるよねw