カッパおばさん

近所のスーパーで、1人4リットル(2リットル入り×2本)までミネラルウォーターを売ってくれるというので、初めて並んでみました。


いつも10時開店の店ですが、昨日は9時半に開店して、10時にはソールドアウトしてしまっていたそうです。


なので、9時25分頃に行ってみたら、すでに長蛇の列でした。


乳幼児を連れたお母さんもいたし、そうでない方もいたし。まあ、ご年配が中心だったかな。会社勤めの人は並べない時間ですものね。


とりあえず粛々と並びましたら、前のほうに頭からピンクのカッパ(ポンチョ)をかぶって大きなメガネをかけ、マスクを2重にかけ、ゴム手袋をしているという完全防備のご婦人(おそらく60代)がいらっしゃいました。


そこまで心配ならもはや東京にいないほうが精神衛生上いいんじゃないかしら?と思いつつ、マスクもせずに私は並んでいたわけですが、9時半になってもスーパーが開店しません。


ああ、今日は10時開店なのね。昨日よっぽどクレームがきたんだろうなあと思いつつ、私はのんびりと待っていました。


まあ、予測範疇だったから。でも、今日も10時で売り切れだと困るなあと思って、はやめに来ただけだったからです。


ところがそのカッパおばさんは我慢ならなかったようで、列の整理に追われている店員さんたちをとっつかまえてはギャアギャア文句を言いだしました。


はやく開店しろ。せめて屋内で待たせろ。こんなときに外で待たせるのは常識を疑う、というわけです。


まあ、微量の放射能が降り注いでるかもしれないけどねぇ。私は空を見上げて思いました。


このおばさん、そんなに自分の安全だけが大事なのかな?


だって、列を整理している店員さんだって、外にいるわけじゃない? あなたがポンチョ着ないと怖くて出られないと思っている外界で、水を買いに来る人たちのために働いてるわけじゃない?


その人たちにヒステリックに文句を言って、ぺこぺこさせて、なんになるというのでしょう。


カッパおばさんは同世代のお友達たち(男性も女性もいた)と一緒にいましたが、その中の誰も「およしなさいよ」と諌めるでもなく、不愉快そうな顔で店員さんたちを睨んでいました。


とても失礼な話と思いますが、心の中で私は彼らを嘲笑していました。


いい歳して恥ずかしくないの? あんたたち、どこまで長生きしたいわけ?


私は、政府が「安全です」と繰り返すのを根っから信じるほどお人好しではありません。


はた迷惑なほどの買い占めはよくありませんが、幅広く情報を集めて合理的と思える分量を考え、手元に置いておくのは危機管理上やむを得ないと思います。


それと同様に、個人の危機管理基準に従ってポンチョを着ようがマスクをつけようが自由だとは思いますが、ただひたすら我が身大事でビクついて、他者や社会への思いやりももてない人間は本当に腹立たしいし軽蔑する。


カッパおばさんがそこまで「屋外キケン!」「放射能ヤバい!」と思うなら、まず並んでいる乳幼児連れのお母さんたちを気遣うべきなのです。


「私はいま屋外で人を並ばせるのはよくないと思う。せめて乳幼児連れのお母さんたちだけでも、優先的に屋内に入れてあげてはどうですか?」


こうした冷静な提案であれば、店員さんたちだって耳を傾けたかもしれないし、私もカッパおばさんビビりすぎウケルwwwもう東京脱出しろよwwwとか思いながらも、「怖がりすぎかもだけど、立派な人だな」と思えたのです。


こういう危機の時、人はその本当の姿が見えますね。とても興味深いことです。


私の友人たちや仕事仲間も反応はさまざまで、迂闊だな、のんきすぎるなと思う人もいるし、身勝手なだけだなとわかる人、オーバーだな、ビビリだなと思う人、逆に賢明だな、やさしいな、頼りになるな、公共心があるなと思う人もいます。


複合もありますね。情に厚いなと思うけど頼りにはなんないとか、のんきだけれどたくましいとか、ヘタレだけれどやるときはやるじゃん、とかね。


いずれにしても平和な日常では見えにくかったことが、如実に見えてきて興味深い。


まあ、そういう人だろうなと思ってたことが当たってるなと思うこともあるし、あれっ意外だなということもあって。


さて、かくいう私も人からどう見えているかはわからない。自分では思ってたより愛国心あるなあって感じかな。


本日の東京は夕方から雨の予報。お灸サロンの予約をキャンセルする程度には身勝手で怖がりだけどねw