悲しい事実

今日、夜道を、恋人と歩いていたら、


角のところで恋人がいきなり私の腕をとって引っ張り、


私の足を止めさせた。


えっ? と思って立ち止った私の目の前を、


仕事帰りのおしゃれな女性が通り過ぎた。


以前、むこうがブチ切れて仲違いして以来、もう会っていない友達だった。


音楽を聞きながら歩いていた彼女は、私たちに気づかず、目の前を横切って行った。


恋人が気づいて止めてくれなかったら、鉢合わせするところだった。


よかった。


私に会ったら、彼女はまたきっと傷ついてしまう。


やっと忘れかけてる頃でしょうに。


それにこっちは二人だし、むこうはひとりだし。




見送った後ろ姿は、あいかわらずセンスがよかった。


彼女のセンス、好きだった。


だから距離を誤ったのだと思う。仲良くし続けられる距離を。



彼女が通り過ぎてから、私と恋人は、また歩き始めた。


私の姿を見るだけで傷ついてしまう人がいる事実。


悲しくなるけど、もう仕方ない。